昨年は母親が子どもを殺す事件が相次いで発生し、その精神風土まで論じられた。県外にいる秋田県出身者は恥ずかしい思いにさらされたとのことで、まさに秋田県始まって以来の全国的事件であったと思う。
これに代表されるような秋田県の現状を昨年流行った言葉で要約すれば、「品格なき秋田県」と言えるのではないだろうか。すなわち、秋田の社会・政治・経済・文化の核が衰えているからあのような事件が生起し、また昨年は1万2千人近い人の県外流出となったのである。
今こそ真の意味での「品格」ある県づくりをしなければならない。
その第一は秋田県民がものを言いやすい土壌を作り、雰囲気を醸成することだ。このために政治や行政・農業・商工業団体・労働団体の責任ある立場の者が、率先して実践することから始めるべきである。
今年は幸い地方統一選挙、国政(参議院)選挙の年に当たる。選挙の年ほど人々が政治や行政に関心を持つことはないし、また多くの立候補者も選挙民に歩み寄ろうとする。この時を逃さず、私たちは各選挙の候補者たちの演説を漫然と聞くだけでなく、積極的に議論、話し合う場を作るべきである。
アメリカの政治学の教科書には、「あらゆる政治は地方政治から始まる」(佐々木毅前東大学長著〜政治に何ができるか〜より引用)という格言があるという。まずは、もっとも身近である市町村議会・県議会の選挙の時を民主主義社会を創る原点としよう。