日赤・婦人会館跡地の再開発事業を審議した3月県議会は、自民党会派の事情により、形式的であるが「議論不十分」という建前で11日間延長、3月30日に終了した。自民党会派はプロジェクト・チームなるものを立ち上げて現地調査などの活動を行ったが、結局は県の原案に指1本加えることはなかった。
議会最終日、私は本会議長で予算案(原案)反対の立場で討論。私の秋田市長時代、市民参加により作成された「秋田市芸術文化ホール基本計画」の報告書を取り上げ、佐竹知事が市長時代にこれを破棄し、中心市街地を放置し続けてきたことを指摘したほか、自民党のPTがいかにまやかしであるかを追及した。
今回はその反対討論の概要を以下に記す。
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佐竹知事、あなたはこの報告書に見覚えがあるでしょうか。少なくとも1回は手にし、目を通されているはずです。そう、これは1年間をかけた市民参加の話し合いの中でまとめられ、平成12年3月に発行された「秋田市芸術文化ホール基本計画」というタイトルの報告書であります。市民の中には、これを「幻の報告書」と呼ぶ人もおります。
なぜ「幻」と呼ばれるかは、知事自身がいちばんご存知でしょう。この報告書の内容は、ついに日の目を見ることなく、時の市長であったあなたの手によって葬り去られたのであります。もちろん、その要因は財政上のものなどさまざま挙げられております。しかし、中通1丁目再開発事業に関しては、このあと佐竹史料館などという構想も出されたものの、時の寺田知事にことごとく反対され、結局は7年近い歳月を経て急きょ、その寺田知事主導で美術館移転案が出てきたわけです。
私が何を申し上げたいかと言えば、中通1丁目の再開発について、佐竹知事は市長時代も含めてほとんど主体的にかかわってこなかった、芸分ホール計画を廃棄して佐竹史料館を構想してみたものの、反対を受けて簡単に引き下がった、そして、ついには寺田前知事による美術館移転計画に乗ってしまったのではないかということです。
この計画は10数年の歳月をかけて立案されたかのように言われておりますが、実質的に県議会の中での議論が行われたのはこの2年余でしかありません。つまり、それ以外の時間はただただ空しく費やされてきたに過ぎないのです。知事はまず、このことを深く反省すべきであります。
そして、このことを抜きにして「長く議論してきた」「タイムリミットが迫っている」「いま決断しないと補助金がもらえない」などと世間やマスコミ向けに宣伝したり、議論を求める議会に責任を転嫁したりというのは、まやかしであり一種のブラフ・脅しであり、フェアな態度ではないと思います。
今から21年前、県議会の自民党会派は会期を延長して県当局の観光開発に絡む海外調査費を減額修正させました。私はかつての自民党がそのような英断を下したことに、心から敬意を表するものです。今回の会期延長はそれから21年ぶりですが、中心市街地の再開発は当時の海外調査費よりもはるかに大きな予算が投じられ、県民・市民の生活にも影響を及ぼす重大事であります。今、多くの県民は議会の議論の行方を固唾を呑んで見守っております。
建設交通員会の参考人招致は2度行われ、自民党もPTチームを立ち上げて調査を行いました。しかしその結果、この再開発事業が原案通りに議会を通過するという事態になったならば、それこそ「大山鳴動、ねずみ1匹」であり、県民の大きな失望と怒りを買うことになるでしょう。
私は修正案のように予算を減額修正し、6月議会までに県民・市民の英知を求め、また議会も対案を提起してよりよい「まちづくり案」を練るべきと考えます。既に参考人の皆さんや県民から多くの建設的意見が寄せられています。県当局には、県民・市民の「まちづくり」への熱意や行動に柔軟に対応し、その声をくみ上げる度量と誠意を期待したい。
そのことを強く訴えて、私の中通1丁目再開発計画の県の提案に反対する討論とします。
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県の計画は原案通り議会を通過したが、市街地再開発問題はこれで決着がついたわけではない。むしろ、「秋田の新しいまちづくり」運動の始まりである。私は県民の皆さんと引き続きこの問題について議論を重ね、課題解決に向けて戦っていくつもりだ。
※国民新党秋田県支部では、秋田のまちづくりに関する県民の皆さんからの情報、ご意見を心からお待ちしています。
posted by 石川錬治郎 at 11:10|
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