さて、「北前船」といえば江戸時代の輸送手段と思われがちですが、実は明治20〜30年代まで北海道・東北・北陸・関西・九州を結ぶ重要な物流ネットワークとしての機能を果たしていました。ほんの100年ほど前には日本海側に立派な経済圏が存在し、富国強兵策のための中央集権体制が敷かれるまで、秋田や山形は決して「裏日本」ではなかったのです。
今回のフォーラムは、この日本海側の地域が連携することを目指した「一種の社会運動」(講師・石川好氏=秋田美工短大学長の言葉より)であり、官庁の支援を受けつつもあくまで民間による交流・連携・創造を基本としています。石川好氏や小松隆二氏(東北公益文科大学学長)の講演、佐高信氏(評論家・山形県出身)や町田睿氏(荘内銀行頭取・秋田県出身)らによるディスカッションは非常に興味深い内容であり、その理念には共鳴できる部分がたくさんございました。
今年5月には秋田市土崎で第2回フォーラムが開催される予定といいます。今後はまず、秋田・山形両県民がそれぞれの地域の歴史・文化などを尊重しつつ、経済・行政での連携をいかに構築し、新たな地域づくりに取り組んでいくかが重要な課題となるでしょう。
「庄内−秋田という地域が日本を先導する」という大きな夢の実現に向けて進められている「北前船コリドール構想」には、大いなる可能性が秘められていると私は考えます。当然のことながら、第2回フォーラムには賛同者の一人として積極的に関わっていくつもりです。