2006年05月25日

再開発事業をめぐる不思議

日赤婦人会館跡地などを中心とした広小路・中央通り・仲小路にまたがる一帯の空洞化は、1970年代から始まりました。大型スーパーの郊外出店やニュータウンの建設という、いわば国策に添った流れの中で構造的に全国の「街」の衰退は進んだのであり、それに歯止めをかけるほど個々の自治体に権限と力量がなかったのもまた事実です。

秋田市長時代、私はこの街の空洞化にどう歯止めをかけるかを最重要課題とし、積極的に取り組んで参りました。街に再び活気を取り戻すために担当の部局を設け、民間地権者側の再開発準備組合との話し合いのみならず、国や県とも連携し、市民によるワークショップの議論を踏まえながらまとめたのが、東北一の規模を誇る「芸術文化ホール」を核とする再開発計画でした。

もちろん、これがベストであったとは申しませんが、あの当時としては実現性の高いベターな案であったと今も確信しております。ですから市議会もこれを了承し、順調に進捗していれば平成19年に開催される「秋田国体」までに完成する予定となっていました。ところが、私が市長を辞した直後にこの計画は急きょ白紙に戻されてしまったのです。

この背景には国の助成制度の変更(補助率などの削減)もあったと推測します。しかしながら、それ以来、現在に至るまで「芸術文化ホール」に代わる具体的な案は出ていません。そこに、これまで事態を傍観していた県知事が盛んに口をはさむようになっています。私には、この知事の行動がいかにも唐突に見え、何か別に意図があるように思えて仕方ないのです。

今週号の「週刊アキタ」がこの再開発をめぐる動きをニュースにし、記事中に前市長である私の意見を掲載しています。ただ、紹介されたのは取材に対するコメントのごく一部に過ぎません。今回はその内容を補足する形で、私の考えを皆さんにより詳しくお知らせしたいと思います。

まず、市街地再開発事業は都市計画法によって市町村固有の事業となっています。ところが、県知事の一連の発言はこれを無視するもので、秋田市の頭越しに個人的なプランを県民・市民に向けてアナウンスしているようにも見えます。ただし、その具体的な内容については一切明らかにしていません。地元紙の表現を借りるならば、これは実に「思わせぶり」なパフォーマンスです。

その手始めは、県有地である日赤婦人会館跡地の一部を無料駐車場として開放することだといいます。当然のことながら、周辺の民間駐車場経営者たちからは反発の声が上がり、彼らと県の担当部局との交渉が現在進行形で続いているのですが、知事は今月中に実施すると主張して一歩も引きません。つまり、強行突破です。

これでは、中心市街地再生という都市全体の発展を左右するような大きな問題が、地権者同士による利害絡みの話になってしまいかねません。それも最大地権者である県が、自ら管理する土地を無料開放するという思いつきに等しい策に固執する限り、事態をさらに難しくする危険性は高いでしょう。

再開発が今の今まで放置されてきたことは、言うまでもなく憂慮すべき問題です。そして、その責任は秋田市、市議会のみならず、再開発準備組合にもあります。それにしても、これまで状況をただただ傍観し何の指導も行ってこなかった県、それもトップの知事がここに来て強引に割り込んでくるのは不思議です。

私が心配しているのは、こうした知事の過剰介入は実に多くの問題をはらんでいるという点です。第一に、知事の権限を越えた指図は街づくりの主体である市町村の自治を侵害するものと言えます。第二に、それが事態をかえって混乱させています。第三に、巨大な利権が伴う街の再開発事業の現場に強大な権力を持つ県知事が口を出すことで、市民・県民に疑念を抱かせる危険性も大いにあります。「そのリスクを負ってまでなぜ?」というのが、私の偽らざる心境です。

秋田市中心部の再開発事業をめぐる知事の唐突な発言と行動は、このように重要な問題を包含していることを県民・市民はしっかり認識し、注意深く監視していくべきであると私は考えるのです。


posted by 石川錬治郎 at 20:11| Comment(7) | TrackBack(0) | 県支部の提言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「芸術文化ホール」の構想、懐かしいですね。〜どこえ消えたのでしょう。行政とは、こんなものでしたか? 現在の市幹部、当時と人は変わっていないのに!貴方の人を見る目がなかったか?…寺田県政、無料駐車場案、〜やらせて見れば、今は何かを即実施し、実行する事が一番です。地権者はとにかく、先祖からの身代が大事なのです。何にでも反対では、いけないよ。美短を建てたときの内外からの反対に対抗し、実現したあのパワーをもう一度…期待します。 歴史建造物を集中させてはどうですか?秋田美人会館などの観光客も脚を止める魅力とロマンのある街作りを考えてはどうでしょうか、まず実行です。時間がないよ。
それではまた、(^_^)/~
Posted by 須江義男 at 2006年05月29日 10:12
須江様

当ブログへのコメントありがとうございます。

須江様の「実行する事が一番」というお言葉、確かにその通りと私も考えます。ただ、拙速に過ぎては将来に大きな禍根を残す危険性もあります。ここが街作りの難しいところでしょう。行政や一部地権者、商工業者に任せてばかりではなく、利用者の側からも積極的に声を上げていく必要を痛感しています。

秋田美人会館は、私が在職中に構想として何人かの方にお話ししたことがあります。再開発の中で、いかに秋田らしさを発揮できるかが問われると思います。今後も私ども国民新党秋田県支部へ忌憚のないご意見をお寄せください。

※なお、頂戴したコメント中の固有名詞や当方が承知していない情報などにつきましては、内容を若干修正させていただきました。当ブログ中の文章は第三者の投稿も含めて管理人が責任を負うことになりますので、何とぞご理解ください。
Posted by 石川錬治郎 at 2006年06月09日 17:41
初めまして秋田市に住む鈴木です。日赤跡地の無料駐車場は市民に大変好評でした。しかし駅前に大事なのは無料駐車場よりも秋田市に安定した公共交通を作ることです。以前、市や県にLRT導入の手紙を書いたのですが、検討するの一点張りでその後、何のアクションも起きませんでした。LRT導入は私以前に秋田市の美容室経営山本氏も提案していますが、石川さんあなたの力でLRTをなんとか導入できませんか?一度、消えた案ですが県議会で提案してほしいです。このままの車社会では秋田は確実に五年後にはじじばばの秋田になって、車を運転する人が運転できなくなります。貧弱な公共交通のままでは市民にも観光客にも不便なままです。今、大事なのは、ハコモノ建設よりも市民の足の確保です。ぜひLRTを導入していただきたいと思います。私の提出した構想は今の中央道路をLRTの路線にして南回り線(仲小路→秋田駅東口→広面→日赤病院→御所野→(秋田空港乗り入れ直行便)→御野場→新屋高校→新屋駅に乗り入れて羽越線で秋田駅までの循環線)、北回り線(秋田駅→山王大通り→県庁市役所→市立体育館→臨海鉄道を活用してこまちスタジアム→セリオン前)です。これがあれば、かなり便利になるのではないかと思います。秋田新幹線開業時に秋田駅を高架化して東西の連絡道路を作れば、多額の税金をかけて中央道路を作る必要はなかったと思います。そうすれば、今の地盤沈下もなかったと思います。実際、中央道路が出来ても、冬以外は二分の短縮しかないようですし、その効果は小さいと思いました。今からでも遅くないと思います。中央道路をLRT路線にして秋田駅の高架化をし東西連絡道路の建設を提案しましょう。また、先日の雨で秋田新幹線が全面運休しました。こまちは雨への弱さを露呈したことになります。安全対策にも限界があるとの事です。秋田盛岡間のフル規格建設を開始すべきだと思いました。そうすれば、時間短縮にもなりますし、雨などにも強くなります。財政が厳しいとかいいますが、これは県民がもっとも望むやらなくてはいけないことだと思います。長文失礼しました。
Posted by 鈴木 at 2007年09月20日 00:18
9月20日にコメントした鈴木です。前にコメントしたときのものに訂正があります。秋田新幹線の秋田盛岡間フル規格建設よりも最近になって知ったのですが、秋田新幹線がもし今の盛岡駅分岐ではなく、北上駅分岐だったらさらに秋田北上間で短縮が図れたとの情報を聞きました。秋田盛岡間のフル規格建設よりも、秋田北上間のフル規格建設をするべきです。いまのままでは今後の東北新幹線新青森・札幌開業で秋田新幹線が北海道東北で一番遅い新幹線となり、高速交通網から遅れてしまいます。お忙しいと思いますがコメントよろしくお願いします。
Posted by 鈴木 at 2007年10月20日 11:26
鈴木様。コメントありがとうございます。ブログ管理を担当しているボランティア・スタッフがここ2ヶ月ほど本業多忙のため更新が滞り、せっかくのご提案に今まで気付かずにおりました。誠に申し訳ございません。後ほど石川本人が内容をしっかり確認してお返事いたしますので、何とぞ宜しくお願いいたします。
Posted by 国民新党秋田県支部 at 2007年11月02日 10:04
了解しました。返事を楽しみに待っております。石川さんあなたの政治手腕に期待しています。ぜひ私の提案を受け入れてくれることを願っています。
Posted by 鈴木 at 2007年12月01日 20:34
鈴木様。大変遅くなりました。ご提案について県支部内で協議し、その内容をメールにてお送りいたしました。宜しくお願いいたします。
Posted by 国民新党秋田県支部・秋山 at 2008年01月15日 14:48
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